甲州印伝(こうしゅういんでん)は、鹿革に漆で模様を付けたものが特徴で、今日この技法を使って様々な製品が作られています。漆は時が経つほど色が冴え、深みのある落ち着いた光沢になってきます。
「印伝」の呼称の由来は、南蛮貿易が盛んな寛永年間(1624~1643年)に遡ります。来日した外国人により印度(インド)産の装飾革が幕府に献上された際、「印度伝来」を略して名づけられたと伝えられています。その華麗な色に刺激されて、後に国産化されたものを印伝と呼ぶようになりました。
日本の革工芸の歴史は、奈良時代にまで遡ります。古来より、革を染める、模様を描くなど、色々な技法が考案され、また外国より伝搬されてきました。甲州印伝の特徴の一つである鹿革は、体になじみ、強度を備えていることから武具にも盛んに使われており、戦国時代には、燻(ふすべ)や更紗(さらさ)技法を用いた鎧や兜が武将たちの 勇士を飾ってきました。甲州印伝の始まりは、武田信玄の誕生という人もおり、信玄袋と呼ばれる袋物は甲冑がすっぽり入る大きさで、鹿革の丈夫さが重宝がられました。
1854(嘉永七)年、「甲州買物独案内」に記述があることから、 江戸末期には山梨県に産地が形成されていたと見られています。明治に入ると、信玄袋や巾着袋等が内国勧業博覧会において褒章を得るなど、山梨県の特産品として確固たる地位を確立。 また、大正期にはハンドバック等も製作され製品も多様化し、現在に至っています。
参照元:
山梨県の郷土伝統工芸品ホームページ https://www.pref.yamanashi.jp/shouko/kogyo/densan/inden_01.html