美濃は現在の岐阜県にあたります。美濃和紙の起源は明らかではありませんが、現存する文書史料の中で年代がはっきりしているものとしての最古の紙は、奈良の正倉院に残る大宝2年(702年)の大宝律令の際作られた戸籍用紙です。美濃の国では、紙の原料となる「楮」の質がとても良く、また沢山採取されました。更に美濃和紙は、他の紙に比べて見た目にとても美しく丈夫で、日本だけでなく、当時の中国にまでそのすばらしさが伝わっていきました。1300年も昔でありながら、美濃の紙は繊維がむらなく絡み合い、現代のものと同じように柔らかみのある独特の肌ざわりを持っています。
奈良時代、仏教の影響で写経が盛んになると紙の需要が急激に増えましたが、その写経用の紙に美濃和紙も使われたようです。美濃産の紙は都での評判が極めて高く、縁故を頼って美濃和紙を求めたとも言われてた程。また、贈答・献上品としても多く用いられたようです。中世になると、文献に美濃の紙名が頻繁に登場するようになります。地域によって多くの紙が生産され、技術も発展していきました。江戸時代には、高級障子紙として最上の評価をされ、「美濃判」として障子の規格となりました。幕府御用の紙としても知られています。
明治時代に入り、明治政府は明治6年(1873年)のウィーン万博と同9年(1876年)のフィラデルフィア万国博に美濃紙を出品しました。先人たちの技法が現在も受け継がれ、薄くて強くむらのない美しい美濃和紙が生産され、私たちの日々の暮らしの中で使われています。また、最近では、和紙の丈夫さ、美しさが日本だけでなく外国からも注目されるようになってきています。
参照元:
美濃和紙の里会館ホームページ http://www.city.mino.gifu.jp/minogami/