弓浜絣(ゆみはまがすり)は、鳥取県米子市・境港市を中心に受け継がれる藍染めと独特の絵模様によって制作される伝統的な綿織物です。倉吉絣(現・同県倉吉市)、広瀬絣(現・同県安来市広瀬町)と共に山陰の三絵絣の一つ言われています。江戸時代中期の宝暦年間(1751~1763年)、車尾(現・米子市)に始まったと言われており、文化年間(1804~1818年)頃には、米子や弓ケ浜あたりで「浜の目絣」「浜絣」と呼ぶ絵絣が織られるようになりました。手つむぎで作られる絣はざっくりとした風合いが特徴。元々、農民の自給用衣料に端を発しているだけに、絵柄の素朴さが最大の特徴で、他ではあまり見られない鳥の羽根の丸みや円などの美しい曲線が表現されています。また、糸を先に染めて模様を出す「先染め」や高い吸水性といった点も弓浜絣の特徴です。
明治初期、鳥取県の絣織物生産量は全国第3位を誇っていましたが、洋式紡績の発達が向かい風となり衰退の一途を辿りました。戦後、関係者の尽力により復興し、昭和50年(1975年)には鳥取県弓浜絣協同組合が結成され、国の伝統的工芸品の指定を受けました。また昭和53年(1978年)には鳥取県無形文化財に指定されていますが、絣そのものの需要も激減しており、現在の生産量は残念ながら限られたものになってしまっています。
参照元:
鳥取県ホームページ http://www.pref.tottori.lg.jp/116886.htm