久留米絣(くるめかすり)は、福岡県久留米市および周辺地域で製造されている絣です。藍染めが主体の綿織物で、あらかじめ藍と白に染め分けた糸(絣糸)を用いて製織し文様を表しているのが特徴です。
久留米絣のルーツは江戸時代後期の1800年頃、当時12〜13歳だった井上伝(1788〜1869年)という少女の発案がきっかけだとされています。8歳頃から機織を使い衣服を織っていたと言われるほど手先の器用な伝は、ある日、着古した藍染の木綿の着物が白い斑点のような模様になっていることに気づきました。それに興味を持った伝は布を解いて模様の秘密を探り、試行錯誤の結果、糸を括って藍で染め、織り上げて模様を生み出すことに成功したのです。15歳の頃に既に20数人、40歳の頃には1000人にも及ぶ弟子がいたと言われており、生涯に渡りこの技術を多くの人に伝え久留米絣の普及に貢献しました。
井上伝と並ぶ功労者として、1839年に絵や文字を自在に表現する「絵絣」の技法を発明した大塚太蔵や、1844年に久留米絣独特の緻密な柄「小絣」を考案した牛島ノシらがおり、彼らが久留米絣の草創期を支えたと言われています。
久留米を中心とした筑後地方では、農家の副業として久留米絣が盛んに織られ、明治以降は庶民の衣服として全国で愛用されるまでになりました。着れば着るほど、心地よさと風合いが増していく久留米絣。また、洗う毎に紺色が冴え、白色とのコントラストが一層美しく映えます。時が経つと共に藍の変化を楽しめるのも、久留米絣独特の魅力の一つ。昨今、久留米絣のもんぺが俄かに注目を集めています。
参照元:
久留米絣協同組合ホームページhttp://kurumekasuri.jp/