浄法寺塗(じょうほうじぬり)は、岩手県二戸市浄法寺町周辺で作られている漆器の総称です。神亀5年(728年)、行基(ぎょうき:東大寺の「四聖」の一人)がこの地に天台寺を建立しましたが、その際に中央から派遣された僧侶達が自家用の什器を作るために使っていた漆工技術をこの地に伝えたことが浄法寺塗の始まりと言われています。やがてその技術は庶民に伝わり、庶民が普段使いに使用する「御山御器(おやまごき)」として天台寺周辺に広まっていきました。江戸時代には東北地方有数の漆器産地へと発展。この地方を支配していた南部藩の重要な産業の一つとして地位を確立しました。中でも、藩主への献上用に金箔を施した優美な「箔碗(はくわん)」は、大名の間で「南部箔椀(なんぶはくわん)」の名称で認知されるようになりました。
浄法寺町を本拠にしている漆掻き職人が岩手県北や青森県南部、秋田県北東部の漆の木から採取する生漆(きうるし)を「浄法寺漆(じょうぼうじうるし)」と呼びます。現在、日本国内で使用される漆の98%以上は中国から輸入されていますが、浄法寺漆は国産漆の約70%の生産高を占め、高品質で知られており、当然のことながら浄法寺塗にはこの浄法寺漆が使われています。日常使用される汁椀・飯椀・片口のほか、時代椀には加飾の入ったものもありますが、そのほとんどが、無地の本朱・黒・溜色による光沢を抑えた単色のシンプルな仕上がりになっています。
参照元:
東北経済産業局ホームページhttp://www.tohoku.meti.go.jp/s_cyusyo/densan-ver3/html/item/iwate_04.htm
Wikipedia浄法寺漆https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%84%E6%B3%95%E5%AF%BA%E6%BC%86