友禅染は、江戸時代の貞享年間(1684-1688年頃)に京都の扇面絵師であった宮崎友禅斎により創始されたと伝えられています。当時、扇面絵師として有名であった友禅斎が、呉服屋の依頼で小袖に小紋模様の多彩色の図案を描いたのが評判となり、「友禅模様」として世に知られていくようになりました。1603年の江戸幕府開府に伴い、大名の参勤交代制度が始まることによって、多くの絵師や染師が他の職人達と同様に京やその他の地方から江戸に移り住むようになったことから、様々な技術・技法の交流が始まり、それらが江戸独特の文化とあいまって、「東京手染友禅」として大きく発展していきました。特に盛んになったのは、江戸も末期の文化・文政期(1804~1827)頃と言われています。
東京手描友禅は、完成までの工程(白生地→図案→下湯のし→下絵羽→下絵→糸目糊置→地入→友禅挿し→伏せ糊→引き染→蒸し→水洗い→仕上げ→湯のし→上絵羽)がほぼ作者の一貫作業。華やかさを可能な限り抑えた落ち着いた色彩、シンプルで繊細な絵柄の中に秘められた美しさと溢れる気品は、江戸の粋を現代にまで伝えています。
参照元:
東京都工芸染色協同組合ホームページ http://www.tokyotegakiyuzen.or.jp/