伊賀忍者や松尾芭蕉の生誕地として知られる三重県・伊賀。古来より都に隣接する地域として交通の要でした。そこで焼かれる伊賀焼は、奈良時代に農民が農業用の種壷や生活雑器を焼いていた事が始まりとされていますが、一方、同時代に伊勢の皇大神宮に献上された記録も残っています。中世の時代には、伊賀市の槙山に近い五位ノ木窯跡などで周辺の豊富な陶土と薪の燃料を利用し、信楽焼と同じ擂鉢や甕、壺などが焼かれましたが、桃山時代に侘び茶が大成されると、伊賀焼の持つ風情が千利休ら茶人に大変好まれ、大名間で献上品として利用されるほど珍重されていきました。
伊賀焼は300~400万年前に堆積した古琵琶湖層といわれる地層で、「蛙目(がえろめ)粘土」「木節(きぶし)粘土」という、どちらも耐火度が高い「伊賀陶土」を使用します。伊賀焼は別名「七度焼」とも呼ばれ、高温で何度も焼成することによって自然と青ガラス質のビードロ釉と呼ばれるものが出来上がります。その自然美が「侘び」「寂」となり、特に茶陶においては右に出るものはないと高く評価されています。作家の川端康成はノーベル賞受賞の記念講演「美しい日本の私」のなかで、「侘び」「寂」といった日本文化を代表する焼き物として取り上げたほどです。
参照元:
伊賀焼振興協同組合ホームページ http://www.igayaki.or.jp/
伊賀市観光協会連絡協議会ホームページ http://igakanko.net/index.php?FrontPage