「たぬきの置物」として有名な信楽焼。奈良時代以来の古窯と伝えられていますが、穴窯により甕、種壷、すり鉢、等の日用雑器が多く焼かれるようになり、信楽焼が始まったとされるのは鎌倉時代中期と言われています。中世から近世にかけての記録には、信楽焼が茶道具として用いられたことが記されていますが、侘び茶の祖といわれる村田珠光(室町時代中期の茶人及び僧)は、弟子に宛てた手紙の中で、信楽焼の茶道具を「侘び」に通じる道具であると伝えたといいます。時代は下り明治時代に入ると、釉薬が研究され火鉢生産が盛んになりましたが、昭和30年代前半まで産地の主製品となり、日本国内シェアの約80%を占めるほどでした。近年は、傘立、タイル、庭園用品(テーブルセット、燈籠、照明具)、食器、置物など多種多様な製品が生産されています。冒頭に挙げた「たぬきの置物」は言うまでもありません。
信楽焼の特徴は、耐火性と粗い土質が挙げられます。陶土に木節粘土を合わせることで可塑性ができ、また強いこしが出るので、大物や肉厚の焼き物を作るのに適しています。また、焼き上げると、肌色、ピンク系や赤褐色系の美しい火色をつけるため、その表面にビードロ釉や焦げをつけることで、他の産地の焼き物には見られない、人間味あふれる柔らかく暖かな表情の焼き物が出来上がります。
参照元:
信楽陶器工業協同組合ホームページ http://593touki.jp/
日本セラミックス協会ホームページ http://www.ceramic.or.jp/museum/yakimono/contents/shigaraki/sanchi_shigaraki.html