奈良筆(ならふで)は、奈良県奈良市・大和郡山市周辺で作られている筆の総称です。歴史的にも、奈良は筆作りの発祥地と言われています。日本においては、中国文化の伝来と共に飛鳥時代の初期から中国製の筆が輸入されるようになりましたが、奈良で筆が作られるようになったのは平安時代初期の806年(大同元年)。嵯峨天皇の時代に遣唐使として中国に渡った空海(弘法大使)が唐から帰国した際に、中国の筆の製造技術を持ち帰り、大和の坂名井清川という人に伝授したのが始まりとされています。
当時の奈良では多くの学僧が仏教を学んでおり、高僧や学僧を中心に奈良で作られた筆が広まっていきました。やがて、漢字の他にかな文字が使われるようになると、丸い線を自在に描くことができる繊細な筆が求められるようになりました。そこで筆匠達は試行錯誤を重ね、十数種類の動物の毛を原料とし、弾力や長さなど異なる原毛を個別に水に浸して固め、その筆の特長によって配分と寸法を決めて入念に組み合わせる「練り混ぜ法」という伝統的な技法を確立。それが奈良筆の礎を築き上げました。奈良筆は、その歴史と伝統に培われた匠の技と心を継承し、高い品質を守り抜くことで、書家や専門家を中心に今日も高い評価を受けています。
参照元:
日本伝統文化振興機構ホームページ http://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=148&p=1&c=12
KOGEI JAPANホームページ https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/narafude/