紀州漆器は、和歌山県海南市の北西部「黒江地区」を中心に生産されており、会津塗(福島県)山中塗・輪島塗(石川県)などと共に全国三大産地の一つに数えられています。紀州漆器はあくまでも庶民を対象とした日用品なため、工程を簡略化し、良質な素材にはこだわらないが一定の品質は保っている点が特徴です。
起源は室町時代。近江系の商人集団が黒江に移り住み、豊富な紀州材を使って木椀を製造したことが始まりと言われています。紀州木地師によって渋地椀が作られたことに始まり、加えて、現在の那賀郡岩出町にある根来寺で、僧侶達が寺用の膳・椀・盆・厨子などの什器を自ら作ったのもが源流とされています。黒漆で下塗りをし、その上に朱塗を塗ったところ、未熟練の僧侶の手によったものであるため、使用中自然に表面の朱塗りが磨滅して下塗りの黒漆がところどころ露出しましたが、それがかえって趣あるものとして喜ばれたとも言われています。
現在の紀州漆器は、徹底した分業制で作られています。お盆や膳など、全体に漆を塗り付ける工程を「塗り」といい、塗り師が担当します。次に加飾と呼ばれる工程に「蒔絵」や「沈金」があり、塗り師から蒔絵師、沈金師と職人の手に委ねられ、絵や模様が描画されます。それぞれが専門で、熟練の技が活かされています。
参照元:
和歌山県情報館ホームページ http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/061000/kougei/2013_sikki.html
紀州漆器協同組合ホームページ http://www.chuokai-wakayama.or.jp/sikki-k/index.html