砥部焼(とべやき)とは、四国・愛媛県砥部町を中心につくられている陶磁器。砥部の盆地では、山裾の傾斜が窯の立地に適していること、また、燃料となる木材の入手が容易だったことから、古くより焼き物が焼かれていました。砥部焼の始まりは、江戸時代中期、伊予大洲藩の第9代藩主・加藤泰候(かとうやすとき)が藩の財政を立て直すため、砥石屑を用いた磁器生産を陶工・杉野丈助(後に砥部焼の祖となる)に命じたことに遡ります。江戸時代、伊予大洲藩は当時既に有名であった伊予砥の生産が盛んに行われていましたが、その砥石の切り出しから出る砥石屑から磁器を作ることに着手。困難を極めましたが、3年という月日を経て、白磁に藍色の手描きが加えられた焼き物を作り出すことに成功しました。
砥部焼は、やや厚手の白磁に「呉須」と呼称される薄い藍色の手描きが特徴。主に器や食器が制作されています。他窯の磁器と比較して頑丈で重量感があり、ひびや欠けが入りにくいため道具として高い評価を得ています。明治以降、砥部焼は中国等の外国に輸出されるようにもなりました。また、陶業家・向井和平(砥部焼中興の祖)が製作した淡黄磁「陶鶴」は、明治26年にシカゴ博覧会で1等賞を受賞。それにより砥部焼の名は世界に知られるようになりました。現在でも独特の風合いが多くの人々を魅了しています。
参照元:
砥部焼観光センター「炎の里」ホームページhttp://www.tobeyaki.co.jp/contents/fan_contents_02.html
砥部焼陶芸館ホームページhttp://www.togeikan.com/index.php