土佐打刃物(高知県)

 土佐打刃物(とさうちはもの)は、高知県内で決められた製法により作られた刃物(包丁、鎌、鉈、鋸、鍬など)の総称です。主な産地は香美市・南国市・須崎市・土佐市・いの町。高知県は全国でも屈指の温暖多雨の地であり、古くから良木に恵まれていましたが、山林資源を有効に活用するため、伐採に必要な打刃物が古くから造らようになりました。

 土佐打刃物の本格的な発展は、江戸時代初期の土佐藩主2代目・土佐忠義による元和改革(1621年)という財政改革から始まります。江戸幕府から課される役負担に対応するため、森林資源の確保や新田開発の振興政策を遂行。家老職・野中兼山の農山林収益策により農業林業用打刃物の需要が拡大したことが、土佐打刃物の生産量及び品質を大幅に向上させるきっかけとなりました。鍛冶職の租税を免ずるなどの藩による優遇措置も手伝い、鍛冶職人達の切磋琢磨が他に比類なき土佐打刃物を生み出して行きました。

 土佐打刃物の大きな特長に「自由鍛造」というものがあります。金属素材を適当な高温に加熱し、プレスまたはハンマを用いてその上下金敷間で力を加えて鍛造加工を行いますが、決まった型がなく、すべてが経験に基づいています。素材の特性、温度、力加減、角度、等々熟練の技を要する工程ではありますが、その名の通り制限がなく自由であるため、発注者からの要望に細部にまで応えることが可能。そのことから、世界に一つだけのオリジナル刃物を作ることができるため、全国の職人達に愛用されています。

参照元:
土佐刃物流通センターホームページhttp://www.tosahamono.or.jp/

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