京繍(きょうぬい)は京都府京都市周辺で作られている刺繍です。日本では飛鳥時代には刺繍が行われていたと推定されておりますが、その時代は仏画を刺繍で表現した掛け物である繍仏がほとんどだと言われています。これが平安遷都に伴い京都に都が移されると、繍技の職人をかかえる縫部司(ぬいべのつかさ)という律令制における役所が設置され、刺繍が衣服の装飾に用いられ始めたのが京繍の起源と言われています。それ以降、京繍は、十二単(平安時代)、武将の胴服(鎌倉時代)、能衣装(室町時代)と時代に応じた役割を演じながら発展。織田信長・豊臣秀吉の権力の元、華麗で洒落た文化が花開いた安土・桃山時代には小袖(筒袖で袖口の小さい垂領の和服。今日のきものの原形)にも多く施されるようになり、江戸時代にまで続いていきました。明治時代以降は、ふくさ、壁掛け、「刺繍絵画」など衣服の装飾以外にも使われるようになり、今ではインテリアを含め幅広い製品に使われるようになっています。
絹織物、麻織物に絹糸、金銀糸等を用いて伝統的な高度な技法を駆使し縫い上げていく京繍。技法は現在30種類程ありますが、伝統的工芸品として指定されているのは、繍切り、駒使い繍、まつい繍など15種類。これらの技法が今日でも華麗で雅やかな古(いにしえ)の平安文化を我々に伝えています。
参照元:
京都府ホームページ http://www.pref.kyoto.jp/senshoku/kyonui.html