村上木彫堆朱(むらかみきぼりついしゅ)は、新潟県村上市で製造される漆器の総称です。朴(ほお)、栃、桂などの木地に繊細な彫刻を施し、その彫刻をより引き立たせる指頭塗り(しとうぬり)という独特の塗りの技法(堆朱・堆黒・朱溜・色漆・金磨・三彩彫の6種)で作られています。堆朱(ついしゅ)は漆を塗り重ねるという意味で、その名の通り、幾度も漆を塗り重ねます。その作成工程は10以上にも及び、天候や湿度によっても作業が制限を受けるため、通常1~2ヶ月の期間をかけて完成します。
室町時代の文安年代より、村上市近辺に耕雲寺、龍皐寺といった寺院が建立されましたが、その際、京都から来ていた大工や工芸師などがその事業に加わり、この地域に彼らの持っていた技法を伝えたことが村上木彫堆朱の起源と言われています。その後、慶長年間(1596年~1615年)以来、歴代の村上藩主はこれを奨励し、寛文年間(1661年~1673年)には漆奉行が設置され、漆樹栽培が一段と活発になりました。また、江戸の村上藩邸に仕えていた村上藩士・頓宮次郎兵衛が堆朱彫の名工達に彫刻を学び、それが故郷村上で発達していた漆塗と結びつき、今日の木彫堆朱に発展していきました。
村上木彫堆朱の技法は今なお伝承されており、昭和30年2月に「新潟県文化財」、昭和51年2月に「国の伝統的工芸品」の指定を受けています。
参照元:
村上堆朱事業協同組合ホームページhttp://www.chuokai-niigata.or.jp/tuishu/index.html
村上市ホームページhttp://www.city.murakami.lg.jp/site/kanko/tokusan-tuisyu.html