牛首紬(石川県)

 牛首紬(うしくびつむぎ)は、主に石川県白山市白峰地区(旧白峰村)において制作される紬織物の総称です。同地区の中心地が明治初期まで牛首村という呼び名だったことから、この名称が付けられました。起源は平安時代末期に京都で起こった平治の乱(1159年)。この乱で敗れて牛首に流れてきた源氏の落人「大畠某」の妻女が機織りの技に優れ、村の女性達に伝えたのが始まりと伝えられています。

 ひとつの繭(まゆ)に2頭の蚕(かいこ)が入った特殊な繭を「玉繭(たままゆ)」と呼びますが、その玉繭から座繰りした玉糸をよこ糸に使用して出来たものだけが『牛首紬』の称号を得ることができます。玉繭は二頭の糸が内部で複雑に絡み合っているため製糸は難しく、通常は一度真綿にしてから糸にしますが、白峰の人々は先祖伝来の技でこの玉繭から直接糸をつむぎよこ糸とし、通常の生糸をたて糸として織り上げています。白峰では古くから養蚕業が盛んでしたが、上質な繭は生糸や羽二重にするために出荷されたため、残った玉繭を有効利用するためにこの技術が発達したと言われています。玉繭の糸は何本もの繊維が絡みつくため、どうしても所々に節ができてしまいますが、その節が逆に独特な織物の表面を作り出しているのが特徴です。

参照元:
石川県牛首紬生産振興協同組合ホームページhttp://ushikubi-tsumugi.com/

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