鎌倉彫(神奈川県)

 「鎌倉彫」は、カツラなどの木を用いて木地を成形し、文様を彫り、その上に漆を塗って仕上げた工芸品です。陰影ある彫りの味わい、深みある漆の色調、そして、日本古来の素材である木の温もりが見事に調和した伝統的工芸品。日本的な草花の絵柄を中心に力強く大胆に彫刻し、柔らかさとあたたかみを出した漆塗りが特徴です。

 鎌倉彫の起源は遠く鎌倉時代まで遡ります。鎌倉時代、中国から禅宗とともに伝来した堆朱(ついしゅ)と呼ばれる盆や大香合(だいこうごう)などの彫漆品(ちょうしつひん)の影響を受け、工夫をこらしながら新たな木彫漆塗(もくちょうさいしつ)の仏具を作りはじめたのが鎌倉彫の始まりです。室町時代~江戸時代にかけては、茶道の普及とともに茶入、香合、香盆(こうぼん)等の茶道具に適用されていきました。これらの仏具や茶道具の制作に携わっていたのは仏師でしたが、時代が明治時代になると、神仏分離令が公布され、続く廃仏毀釈運動によって仏師たちは仕事を失ってゆきました。これを転機に仏具制作から生活の中で使われる工芸品としての「鎌倉彫」に活路を見い出した二人の仏師が、仏像彫刻の技術を活かしながら、新しい活路を鎌倉彫に見いだし、今日の発展の基礎を築きました。横須賀線の開通とともに鎌倉及びその周辺は別荘地として栄え、訪れる人々への日用品やお土産として作られるようになり、現在の鎌倉彫へと発展していきました。

参照元:
鎌倉市ホームページ http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/

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