二風谷イタ(北海道)

 二風谷イタ(にぶたにいた)は、北海道の沙流川(北海道日高振興局管内を流れ太平洋に注ぐ一級河川)流域に古くから伝わる木製の浅く平たい形状の盆。現在では、主に沙流郡平取町で伝統的技法が継承されており、2013年3月に北海道で初めてとなる「伝統的工芸品」の指定を経済産業省より受けました。

 北海道産のカツラやクルミ等の木を材料に作られる二風谷イタの特徴はその図柄。アイヌ語で「モレウノカ(渦巻型の文様)」「アイウシノカ(棘状の文様)」、「シクノカ(目のような文様)、「コイノカ(波の模様)」と呼ばれる文様等が組合わさって、美しいアイヌ様式の模様を形作ります。さらに二風谷イタには必ず「ラムラムノカ」というウロコ彫りが、文様の隙間を埋める様に彫り込まれています。

 二風谷イタが初めて史料に登場するのは、幕末の安政年間(1854~1859年)。松前藩が幕府に献上する産品の中に、沙流川流域の半月盆や丸盆の記録が残されています。さらに1873年(明治6年)にはウィーン万国博覧会にも出展されました。時代は下り1960~1970年代。高度経済成長や車社会の到来から北海道観光ブームが起こり、これが二風谷の工芸に大きな活力をもたらし、新たな手法やデザインも生み出しました。かつてのアイヌの人々の暮らしの中での作品は日用品として、現在は現代作家による緻密な工芸品として、二風谷イタは脈々と受け継がれています。

参照元:
二風谷民芸組合パンフレット http://kodaiori.net/wp-content/uploads/2015/12/ita.pdf
KOGEI JAPANホームページ https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/nibutaniita/

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