江戸木版画(えどもくはんが)

 江戸木版画(えどもくはんが)は、浮世絵木版画に代表される日本独自の多色摺りの版画技術です。日本の木版画の歴史は極めて古く、西暦500年代後半に仏教の伝来と共に日本に伝えられたと言われています。最も古いものとして現存するのは、奈良県の正倉院に所蔵されている木版を利用して衣服の文様をあらわした蛮絵(鳥獣・草花などの形を丸く図案化した文様)があります。また称徳天皇(718-770)の発願により作られた、制作年代が明確な世界最古の印刷物である百万塔陀羅尼文(ひゃくまんとうだらにもん)も木版で製作されています。

 木版画が一般に普及し始めたのは、江戸前期の元禄~享保(1688~1736年)時代頃に浮世絵師・菱川師信が浮世絵を製作した時からと言われています。この段階で既に下絵を書く絵師、下絵を版木に彫る彫師、紙に摺る摺り師、といったように分業体制が確立していました。当初は墨一色の簡単なものでしたが、後に丹(朱色)を手で彩色する丹絵という手法が生み出され、次第に複雑な色を着色することが出来るようになりました。享保頃から漆絵あるいは紅絵(べにえ)と称する美しい手彩色版画が市販されています。

 寛保(1741~1744年)末頃、紅と緑の2色で色を摺る方法が開発され、紅摺り絵といわれました。約20年後の明和2年(1765年)、浮世絵師・鈴木春信によって錦絵という形式が開発され、従来2~3色であった色彩は10色以上となり、今日の我々が思い浮かべる錦絵の礎が確立されました。江戸木版画は、町人文化が花開いた江戸時代後期に飛躍的に発展。喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重といった江戸の天才浮世絵師たちの活躍により完成の域に達していきました。

参照元:
台東区ホームページhttp://craft.city.taito.lg.jp/
国立国会図書館ホームページhttp://www.ndl.go.jp/exhibit/50/html/catalog/c002.html

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA