内山紙(長野県)

 内山紙(うちやまがみ)は長野県下高井郡・下水内郡などで生産される高級和紙の総称です。発祥の起源は定かではありませんが、江戸時代の寛文元年(1661年)に信濃国高井郡内山村(現在の長野県下高井郡木島平村内山)の萩原喜右ヱ門が、奈良時代には既に和紙作りが行われていた美濃の国にて製法を習得して帰郷。自家で漉いたのが始まりで、その地名を取り「内山紙」と呼ばれるようになったと伝えられています。また、他の説として、狩りをしながら山を移動して暮らすマタギたちが、移動中に会得した技術で山野に自生する楮(こうぞ)から紙を漉き、小菅山修験場(かつての北信濃三大修験場の一つ)に紙を納めて生活の糧としたことが始まりとも言われています。

 内山紙は楮のみを原料としており、強靱で通気性、通光性、保温力に優れています。製造工程で楮の繊維を取り出してから雪の上に晒し(雪晒し)ますが、これにより雪が溶ける際に発生するオゾンが持つ漂白効果によって楮の皮が白く漂白され、また自然な白さは丈夫で日焼けしにくく長持ちすることから、内山紙は障子紙の利用に最も適した和紙と言われています。変色しにくい性質と強靱さから、筆墨紙としてもよく使用されていました。この楮のみを原料に使うこと、雪晒しなどの技法といった特徴が評価され、昭和51年に経済産業大臣の伝統的工芸品として指定を受けました。

参照元:
内山紙協同組合ホームページhttp://www.uchiyama-gami.jp/index.html

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