熊野筆(広島県)

 熊野筆(くまのふで)は、広島県安芸郡熊野町で生産されている筆の総称です。熊野町は「筆の都」と称する日本最大の生産地で、愛知県豊橋筆、奈良県奈良筆、広島県川尻筆とともに日本四大産地と呼ばれる筆の産地の一つです。国内では80%のシェアを有しており、川尻筆と合わせると、広島県産の筆のシェアは、国内で90%に及ぶと言われています。

 熊野は海抜約250m。周囲を標高約500mの山々に囲まれた狭い盆地となっています。江戸時代、人々は農業で生計を立てていましたが、小さな盆地で農地が狭く、生活は苦しいものでした。そこで、農閑期には吉野地方(現在の奈良県)に出稼ぎに行く人が多く、出稼ぎで得たお金を元手に奈良地方で有名な筆や墨を買い入れて、それを帰路の町や村で売りながら熊野に戻るという習慣になっていました。これが筆と熊野の結びつきのきっかけです。このような習慣がくり返されている中、江戸後期の天保5年(1834年)、佐々木為次(ささきためじ)という者が摂津の国(現在の兵庫県)の有馬に行き、そこで4年間筆づくりを学びます。また弘化3年(1846年)、井上治平(いのうえじへい)という者が浅野藩(広島)の御用筆司である吉田清蔵の元で筆づくりを修行。さらに同じ頃、乙丸常太(おとまるつねた)という者も有馬で筆づくりを学び、彼らが帰郷後に筆作りを始めたことから、熊野全体に広がっていきました。

 今では化粧筆も多く作られていますが、2011年のサッカー女子ワールドカップで優勝したなでしこジャパンを祝し、国民栄誉賞記念品として熊野で作られた化粧筆が贈られたことで、知名度が一気に広がりました。

参照元:
熊野町ホームページhttp://www.town.kumano.hiroshima.jp/www/contents/1173858342250/index.html
Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%8A%E9%87%8E%E7%AD%86

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