京版画(京都府)

 木版印刷は、飛鳥時代(592~710年)に今の朝鮮である百済から仏教が伝えられた際、一緒に伝来した経文印刷用の文字木版に端を発します。その時、添えられていた仏像の簡単な輪郭摺り用の版木が参考となり、基礎となる木版技術が誕生しました。京版画(きょうはんが)は、その時代より受け継がれた京都で作成される木版画の総称です。

 木版画が一般に普及し始めたのは、江戸前期の元禄~享保時代(1688~1736年)頃に浮世絵師・菱川師信が浮世絵を製作した時からと言われています。日本独自の素材と手法を駆使して一般庶民にも広く愛された浮世絵木版画は別名「江戸版画」とも呼ばれていますが、大衆文化の中心は江戸にこそあれ、その技術の源流は京都から始まっています。

 出版物の中では、江戸初期の慶長・元和(1596~1624)年間に京都の嵯峨で素封家の角倉素庵、江戸時代の三筆の一人である本阿弥光悦により出版された「嵯峨本」があります。嵯峨本は伊勢物語、徒然草、方丈記、百人一首などの国文学作品を扱った私刊本の総称ですが、用紙や装丁に美しいデザインと工夫がこらされている美術的価値の高い印刷物としてあまりにも有名です。

 京版画の得意とする胡粉摺(貝殻から作られる顔料を使った摺刷法)、雲母摺(雲母も用いた摺刷法)等の技術は、京版画以外の伝統工芸・芸術とともに京都の風土に合わせ発展してきた技術。それらの技術を用い最近では岩絵具(鉱石、半貴石を砕いて作った顔料)を使った木版画も数多く作成されています。

参照元:
京都府ホームページhttp://www.pref.kyoto.jp/senshoku/hanga.html

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