津軽塗(青森県)

 「津軽塗」は青森県で経済産業大臣に指定された唯一の伝統工芸品です(2017年9月現在)。津軽塗の定義は一定ではありませんが、一般に津軽地方で生産される伝統漆器の総称とされています。津軽塗という名称も、1873年(明治6年)ウィーン万国博覧会に漆器を展示することになった際、その産地を明らかにするため名付けられたと言われています。

 津軽塗の始まりは、元禄年間(1600年代末~1700年代初頭)にさかのぼり、津軽四代藩主信政(1656~1710年)の時代に召し抱えられた塗師・池田源兵衛が創始者と伝えられています。当初は武家が腰に差す刀の鞘を美麗に彩るために用いられ、やがて刀の鞘のみならず、様々な調度品が津軽塗で彩られるようになってゆきました。

 津軽塗の特徴は、堅牢で実用性に富んでいると同時に、非常に優美な外見を持つという点です。津軽塗で用いられる「研ぎ出し変わり塗り」という技法は、幾重にも塗り重ねた漆を平滑に研ぎ出して模様を表す方法で、この繰り返しに数十回の工程、二か月以上の日数(50回以上、期間にすると半年ほどの期間を要することも)を費やすことで、複雑で美しい漆模様と、頑丈でしっかりした触感が得られるようになります。なお、藩政時代には様々な塗の技法が存在しましたが、現代まで伝わっているのは残念ながら唐塗(からぬり) / 七々子塗(ななこぬり) / 紋紗塗(もんしゃぬり) / 錦塗(にしきぬり)の四技法のみになってしまいました。

 津軽塗の製品には、日本三大美林に選ばれている青森ヒバ(きめが細かくゆがみが少ない高級木材)が使われています。

参照元:
青森県漆器協同組合連合会ホームページ http://www.tsugarunuri.org/
東北経済産業局ホームページ http://www.tohoku.meti.go.jp/s_cyusyo/densan-ver3/html/item/aomori_01.htm

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